05話 家に行ったら驚いた!


「なに…これ」
!いいところに来た!」
「え?」
「手伝ってくれよ!」

私は、先ほど母の実家から送られて来たトマトを御裾わけで奈々さんに届けるように頼まれ、ツナの家へと訪れた。 それが、何故かいつも綺麗なはずのツナの家のリビングに、台所。 あちらこちらが無茶苦茶で、極めつけには…。

「どうして下着姿の京子ちゃんと奈々さんが倒れてるの?」
「こ、これにはわけが…」
「京子がツナの彼女が嫌で暴れたんだ」
「え…」
「リボーン!お前、要約しすぎだろ!勘違いされるようなことを…」
「ふーん。そうなんだ」

京子ちゃん…。彼女、か-…。 下着姿の京子ちゃんに毛布を掛けるツナを目の当たりにした状況で、一体私に何を手伝えというのだろうか。
私がツナの台詞を遮り、冷めた様な言葉と視線を送ると、ツナの動きがぴたりと固まる。

「え…?」
「…私、帰る」
「はぁ?!」
「か・え・る!ツナの馬鹿ー!」
「ちょっ、!お前、何か勘違いしてるだろ!」
「別にしてないよ!あ、これお母さんからトマトだから。それじゃ」
「あ。ありがとう…って、そうじゃなくて!待てってば!」

ツナが帰ろうとする私の腕を掴み、引き止められる。

「触らないでー!今はやだ!ツナの顔見たくない!」
「だから、違うんだって!」
「…っていうか、なんでツナ私に言い訳してるの?」
「この状況だと、どうみても浮気現場を目撃した女に言い訳しようとしてる最低男だぞ」
「全然違うから!これ以上、余計なこというなよ!リボーン!」

勘違いでもなんでも、別に私なんかにどう思われようといい気がする。 ただの幼馴染でしかないんだし…。 でも、ツナはうつむきながらも、必死で答えを探すように私の方をちらりと見て、口を開こうとする。

「お、俺は、に勘違いされたままなんて、やっぱり嫌、だから」
「…それで?」

つくづくツナに甘いと自分で思う。
私が息をついて、ツナに向き合うと、ツナの表情が、ぱぁっと明るくなって話を始めた。

「あ!じ、実はさっき京子ちゃんが…!」

私は、ひとつひとつ足もとに転がっている家具やお皿を拾いあげながらツナに何があったか聞いた。
どうやら、リボーン君が借りたお金を京子ちゃんに返すためにツナの家に来て貰ったらしい。 そこで突然、遊びでロシアンルーレットをすることになり、当たる弾はパーティ用の弾だったはずだったが、リボーン君が間違えて死ぬ気弾を挿入してしまったとのことだ。

「それで?ツナの家に来た時に、京子ちゃんが、奈々さんにツナを彼氏だと勘違いされた事を後悔して、こんなになっちゃったの?」
「そ、そうみたい…」
「ふーん」
「なんだよ!その反応は!」
「ううん。だから、京子ちゃんが裸なんだなーって思っただけ」
「え?」
「私てっきり、ツナが京子ちゃんを襲って嫌がられたのかと」
「そんな事するわけないだろ!」
「そうだよねー、大事な京子ちゃんだもん。それにツナだって、そんな人じゃないよねー」
、まだ何か怒ってるの?」
「…気にしないで」

ただ、勝手に私が嫉妬してるだけだから…。

「よし」
「ん?」
「私も脱ごうか?」
「なっ!なんでそうなるんだよ!」
「私だって見せないと、割りに合わないかな?って」
「意味分かんないから!」
「俺は気にしねーぞ」
「ありがとう!リボーン君」
「だから、脱ぐなー!」

そんな口論を繰り返しながらも、一通り片付けを終える。 片づけを終えた私はツナの部屋で、むすっとした表情でツナをにらむ。

「ツナの馬鹿!」
「なんでだよ!」
「そんなに照れなくても…」
「そういう問題じゃないだろ!」
「じゃあ、ツナ!」
「な、なんだよ」

私は立ち上がり、ベッドに座っているツナに詰め寄る。

「抱っこして」
「はぁああ?!」
「私、片付けるのも手伝ってあげたじゃん!だーかーらー」

これでも、私なりに毎日頑張っているつもりだ。 だけど、その努力も全然足りないようで、 この気持ちがツナに伝わってないことに心が今にも折れそうになってしまっている…。
ツナが悪いんじゃないって分かってる。だけどほんの少しでいいから…。

「ツナ、抱っこして」
「お前なー!」
「してくれなきゃ京子ちゃんに、ツナの色んな過去をバラしてやる」
「!!卑怯だぞ!」
「ツナは私の事なんか嫌いなんだー!」
「いや、誰もそんなことは…」
「いいもん!自分からするから」
「だから、なんでそう…っ!!」

私は、ベッドに座っていたツナに抱きつく。

「ツナがそんな事出来ないなんて、わかってるよ…」
「…」

ツナを困らせたいわけじゃない。 ただ、ほんの少しでも良いから私のことを見て欲しかっただけだ。 でもきっと…私が京子ちゃんなら、してくれたんだろうな。

「ツナー」
「な、なんだよ!」

ふと抱きついたまま私がツナを見上げると、ツナは顔が真っ赤にして口元を押さえている。

「ドキドキしてるの?」
「っ!(この状況で、しない奴がいたら見て見たいよ!)」

私が、ツナに再び声を掛けようとしたその時、ガチャとツナの部屋のドアが開く音がした。

「…ん?」
「リ、リボーン!」
「わりぃ、邪魔したな」
「いやいや!違うから!」
「俺の事は気にしなくて良いぞ」
「じゅあツナ、続きする?」
「しないよ!ってかなんだよ、続きって!」
「気にすんな」
「離れろって!!」
「いやー!」

まだ、私にも望みはあるのかな?
初めてみたツナの反応に、そんな淡い期待をまた抱いて、私たちは変わらぬ日常の光景に戻った。



「きゃー!可愛い!」
「あと3枚つけてやるぞ」

リボーン君は、私の目の前にツナの写真を数枚つきつけた。

「本当にー?!」
「その代わり京子には今日の事、上手く言っとけよ」
「任せて!」
「人の写真で、取り引きするな!」
「見て見て!ツナ!」
「自分の写真なんか見たくないよ!」

ってかリボーンの奴、いつの間にの撮ったんだ?と思うツナだった。
ツナはちらりとに視線を向ける。 先ほどとは変わって、いつもと変わらない笑顔を見せるに、 ツナは少し胸を撫で下ろした。

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